J2に来た男たち(1)昨季3位長崎に舞い降りた34歳ストライカーと磐田加入のロンドン五輪FW【J2のミカタ特別編】の画像
横浜F・マリノスからジュビロ磐田に加入した大津祐樹    写真:松岡健三郎/アフロ

■長崎に新加入の都倉は、パートナーの特徴を引き出す

 J2からJ1への“個人昇格”があるなかで、J1からJ2への移籍ももちろんある。チームの目標達成のためにJ2のクラブへ新天地を求めた選手を、『J2のミカタ特別編』として2回に分けて紹介する。

 昨季3位のV・ファーレン長崎では、都倉賢に期待が集まる。

 実績は申し分ない。2009年、14年、15年、16年のJ2で2ケタ得点を記録し、18年にはJ1でも12得点をマークした。

 19年から在籍したセレッソ大阪では、ケガの影響などで19年、20年ともに1得点に終わった。自身6つ目のクラブとなる長崎への移籍には、心中期するものがあるに違いない。

 34歳のストライカーは、187センチの長身でポストワークに優れる。長崎にはエジガル・ジュニオ玉田圭司富樫敬真山崎亮平らのストライカーがいるが、都倉ならどんな組み合わせでもパートナーの良さを引き出せるだろう。1トップでの起用にも応えられる。

 昨季の長崎はリーグ3位の66得点を記録したが、2ケタ得点の選手はいなかった。手倉森誠監督(現ベガルタ仙台監督)が積極的にターンオーバーを敷いたことや、ケガでシーズンを通して稼働したFWがいなかったことなどが、その理由にあげられる。

 シーズン最終盤の戦いでは、あと1点が取りきれずに引き分けに終わったり、黒星を喫したりした。徳島で18得点をあげた垣田裕暉、福岡で11得点をマークした遠野大弥(現川崎フロンターレ)のような得点源の不在は、J1行きを逃した一因にあげられた。

 昨季の戦力をほぼそのまま維持した長崎は、コーチから昇格した吉田孝行監督が指揮することを加味しても、J1昇格の有力な候補にあげられる。あとは、勝負強さを体解するストライカーが現れるかどうか。

 その意味で、都倉の存在は心強い。空中戦と左足の強シュートを武器とする彼が加わったことで、より高いレベルの競争が実現するに違いないからだ。

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