■レアル・マドリードが久保に期待すること

 ビジャレアルで出場機会が与えられない中で、レアル・マドリードもビジャレアルに対して不満を伝え、そして新しいレンタル先を探しに動いたと伝えられている。そうした報道を見聞きした時、僕は「さすがにレアルというのはしっかりしたクラブだ」と感心したものだ。レンタルに出した選手の動向をしっかりチェックして、「経験を積ませる」という当初の目的通りの使われ方がなされていなければ、すぐに次のレンタル先を見つけようと動いたのだから……。

 最近はJリーグでも、J1のビッグクラブが若手選手をレンタル移籍に出すという手法が一般化した。あるいは、ユースからトップに昇格する際に大学チームに入って経験を積むという選択も可能になった。そのおかげで、ユース年代を卒業した18歳、19歳の有望選手が出場機会を得られるようになったことは日本のサッカーにとっての大きな進歩だ。おかげで、U−20日本代表でもほとんどの選手が所属クラブで出場機会を得てレギュラーとしてプレーするようになった。年代別ワールドカップで活躍できるようになったのも、その成果である。

 だが、Jリーグではレンタルに出された選手の起用法まできちんとフォローして、そのレンタルがうまく機能していなければ、また別のレンタル先を探すという作業までは出来ていないように思うのだ。

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