■将来のために苦しい戦いを

 だから、レアル・マドリードがビジャレアルで久保が出場の機会を失った時にすぐに動いたという事実を見て、「さすがレアル・マドリードだ」と感心したとともに、それだけ久保が期待されているということが実感されて嬉しくも感じた。

 ヘタフェのプレー・スタイルの中では、久保はなかなか思った通りのプレーはできないかもしれない。われわれが期待しているような華々しい活躍は難しいのかもしれない。

 だが、レアル・マドリードが見ているのは「久保が攻撃的なプレーで大活躍すること」ではないはずだ。もちろん、あのチームを上位進出に導くような活躍ができれば、われわれ日本のファンだけでなく、レアル・マドリードの首脳陣にとっても喜ばしいことだろうが、現実的にレアルのスタッフが求めているのは、試合に出場して経験を積むこと。そして、自らのプレーを発揮しにくいプレー・スタイルの中で、久保がいかにして居場所を確保し、チームでの制約(守備の負担)を受け入れながら、同時に自分のプレーを表現することができるか、なのではないか。

 2020/21シーズン後半、久保建英はヘタフェで苦しい戦いを続けるだろう。それが、本当に「良い経験」となって久保の将来(つまり、レアル・マドリードでの活躍)につながってほしいものである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4