【セリエA ボローニャvsミラン 2021年1月30日(日本時間23:00キックオフ)】
ユベントスには3バックで挑んだボローニャだったが、首位のミラン相手には4バックを採用。冨安健洋は右サイドバックとしてスタメンに名を連ねた。
ズラタン・イブラヒモビッチとの対決に注目が集まるところだが、現在のイブラヒモビッチは1トップというポジションが示すようにペナルティエリア内で勝負するフィニッシャーであり、基本的にはサイドバックの冨安とマッチアップが発生することはない。
カウンターを受けた場面で楔のパスを受けさせないために体を寄せたり、一旦ボールを収めるために動いた時に対応したりすることはあったが、冨安の相手は対面のアンテ・レビッチとテオ・エルナンデスだった。
2分、攻め上がってボールを受けた冨安はレビッチとエルナンデスとの1vs2の状況に一旦スピードを落としたが、そこから2人の間を単独で突破してクロスを上げてみせた。ボールはペナルティエリア中央のニコラ・サンソーネに届いたが、トラップを選択したサンソーネがミスをしてしまいゴールにはならなかった。前線からのプレスが得意なレビッチと、攻撃的サイドバックのエルナンデス。対面するこの2人をいきなり上回ったことの意味は大きい。
サイドの攻防は、突破する、止める、という2つだけではなく、相手を押し込むことが重要だ。特に攻撃が売りのサイドバックには予め高い位置を取らせないこと自体が大切で、そのためには守備の必要性を感じさせなければならない。
このプレーではゴールにならなかったが、ミランにとってはいきなりピンチを生み出されたことになる。エルナンデスに釘を刺すだけでなく、エルナンデスのカバーに行かなければならないレビッチも影響を受ける。前からのプレスでセンターバックのところまで行き過ぎると、エルナンデスのところまで戻りきれなくなる可能性が出てくる。
もちろん、全てが一気に劇的に変わるわけではない。それでも、エルナンデスがフリーの時にいつもより1歩手前で止まる、レビッチがいつもより50センチ手前で深追いしないようになる、のような小さな変化はボローニャ全体にとってのプラスになり、その小さな積み重ねが最終的な結果に繋がることが多い。