ユナイテッドは、37分にスコット・マクトミネイが負傷交代したことでポグバをボランチの一角に移した。対するアーセナルは後半開始からウィリアンを投入し、ボールを保持して戦うやり方に変更。攻めるアーセナルとカウンターを狙うユナイテッド、という構図になり、互いにゴールを脅かし続けたが0-0で試合を終えた。
どちらが3-0で勝っても、あるいは3-3で引き分けてもおかしくなかったが、0-0という結果は妥当なものだった。
アーセナルとしては、終盤に投入したマルティン・ウーデゴールが試合を動かしてくれれば最高の試合になったが、今のユナイテッド相手にはそれは望み過ぎだろう。
互いの思惑がマッチし合ったこの試合では、両チームともにポジティブな内容があった。
アーセナルは、守備の改善がはっきりと見られた。前半の守り方が上手くいっただけでなく、後半も、ユナイテッドのビルドアップをエミール・スミス・ロウやグラニト・ジャカが高い位置で奪ったり、ルイスがハーフウェイラインでボールを奪ってから攻撃に参加してシュートを放ったりと、守備から攻撃への切り替えの早さと一連の流れでフィニッシュまで持っていく様子を各所で見せた。
守備から試合を構築し、タレント揃いの攻撃陣も守備で役割を全うする、というのは現代的であり、若い選手が中心となって攻守に躍動する、というかつてのアーセナルのイメージとも重なる。
ユナイテッドは、スールシャール監督の対応力がフロックではないことを示し続けているだけでなく、首位の座をシティに明け渡して、追う立場になったことが疲れているはずの選手たちを動かすことに一役買っていることが見てとれた。糸が切れたようにずるずる後退するのではなく、チャレンジャーの立場になったことで改めて意欲が高まっている。
また、後半のアーセナルに対しても細かい崩しを何度も見せ、カウンターとポゼッションを極端に区別せずとも戦えることを示した。チームとして完成しつつあり、優勝争いから脱落せずにシティに食らいつくのは間違いない。
共に再興を目指すチームだ。後半戦も、本来の立ち位置へ戻るための激しい戦いが続く。
■試合結果
アーセナル 0ー0 マンチェスター・ユナイテッド