アーセナル対マンチェスター・ユナイテッド「前半と後半で一変したゲーム」の画像
ボールを争うポール・ポグバ(マンチェスター・U)とアレクサンドル・ラカゼット(アーセナル)写真:AFP/アフロ

【イングリッシュ・プレミアリーグ アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッド 2021年1月30日(日本時間26:00キックオフ)】

 主導権を奪い合い続けた試合は0-0に終わった。

 前半、リバプールを相手に鋭いカウンターサッカーで上回ったユナイテッドに対し、アーセナルのミケル・アルテタ監督はスペースを消して構えることを選んだ。

 この日のアーセナルは気合いが入っていた。

 ニコラ・ペペは高い守備意識を見せ続け、横に揺さぶられてクロスで崩された時にはマルティネッリが必死に戻って間一髪でクリアしてみせた。どちらもウイングの選手だ。

 前線の選手たちの気迫は本職のディフェンス陣にも伝播し、前半の最後にはブルーノ・フェルナンデスの直接フリーキックを頭で弾いたダビド・ルイスがガッツポーズを見せて、感情を露わにした。

 対するユナイテッドの前半は、ポール・ポグバを左サイドに配したことが重要だった。リバプール戦ではマーカス・ラッシュフォードが左でポグバが右、という形だったが、アーセナルのカウンターで大きな役割を果たすペペとエクトル・ベジェリンのサイドをケアするために入れ替えた。オーレ・グンナー・スールシャール監督らしい、必要最低限の変更だ。

 このポジション変更は攻撃面でも有効だった。構えるアーセナルに対して、ラッシュフォードを走らせて一気にスピードアップすることはできない。ボールを持たされることになったユナイテッドだが、ポグバはベジェリンをフィジカルで大きく上回り、フットサルのピヴォが見せるようなボールの受け方をして前線でボールを収めた。スペースを消されても停滞することなくシュートの場面まで持っていくことができたのは、ユナイテッドのビルドアップが成熟したこと以外にこのポグバの働きが大きかった。

 堅守速攻を狙うアーセナルと、ボールを動かして揺さぶるユナイテッド、という構図だった前半が0-0に終わると、後半の試合は全く別のものになった。

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