■久保のせいではなかったが…

 久保も、そういう状況ではボールを失わないようにしてクロスを上げるのが精一杯だった。相手のタックルによるボールロストは5回で両チーム最多だったが、ヘタフェが苦し紛れでそこから何とかしようとするしかなかったことの表れでもあり、だから悪かった、ということとイコールにはできない。しかし、味方にも敵にも満足に攻撃をさせてもらえないことで守備に対する意識が徐々に下がる悪循環に陥ってしまい、61分の3失点目では、致命的なミスを犯してしまったことは見過ごせない。

 ハーフウェイラインからウナイ・ベンセドールのパス一発で最終ラインの横を突いたビルバオの速攻に対し、前線の久保が戻らないのは問題ない。ただしビルバオは、そのまま一気にフィニッシュまでは行かなかった。イニャキ・ウィリアムズがキープをして、上がってきたイケル・ムニアインにパス。この時点で久保が戻ってきていてもいいのだが、この慌ただしい局面でムニアインに対して3人がつけていたことで、離れたところで成り行きを見守っているだけでもまだ大丈夫だった。しかし、ムニアインのサポートに左サイドバックのミケル・バレンシアガが上がってきたことで久保に大きな責任が発生する。ビルバオの左サイドで3人が順番に上がってボールを持ったわけだが、3人目のバレンシアガは様子を見ている久保のすぐ横を悠々と通り抜けていった。そしてフリーでボールを受け取るとクロスを上げ、ラウール・ガルシアがゴール。2点差となるこのゴールで、ヘタフェの勝ち点獲得のほんの僅かな可能性は完全に消えた。

 ディフェンスラインに現状どうすることもできない大きすぎる問題を抱えていることや、チーム全体の強度でビルバオに劣っていることは誰の目にも明らかで、久保1人が非難されることになる試合ではない。それでも、この3失点目に関しては一気に信用を失いかねない場面だった。守備でも貢献できることをボルダラス監督に称賛されてきた久保だが、この日は悪い面が出てしまった。

 悪い部分を見せてしまったのが、久保のせいで負けた、という試合でなかったのは不幸中の幸いだ。次の試合で、この日の鬱憤を晴らすしかない。

 

■試合結果

アスレティック・ビルバオ 5ー1 ヘタフェ

■得点

1分 マルク・ククレジャ(ヘタフェ)

12分 ラウール・ガルシア(アスレティック・ビルバオ)

50分 イエライ・アルバレス(アスレティック・ビルバオ)

61分 ラウール・ガルシア(アスレティック・ビルバオ)

75分 アレックス・ベレンゲル(アスレティック・ビルバオ)

82分 オスカル・デ・マルコス(アスレティック・ビルバオ)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4