さて、2005年の10月16日、タリンでエストニアの国内リーグ「マイストリリーガ」第32節を観戦しました(この寒さの厳しい国ではシーズンは春秋制です)。それも、2試合……。

 まず14時キックオフのTVMKタリンとJKトランスナルヴァ戦(「TVMK」というクラブはその後2008年に解散してしまったようです)。本拠地のカドリオウ・スタディオンは約5000人収容の陸上競技場でしたが、とても古く、おそらく1920年代に建設された時のままのようです。「古スタジアム愛好家」としては嬉しい体験でした。

 対戦相手のトランスナルヴァはエストニアの強豪の一つで、東部ロシア国境の街ナルヴァのチームなので、ロシア系の長身選手が多く、ワントップのグルズノフ(名前を見てもロシア系)にボールを集めてきました。

 この試合がスコアレスドローに終わったのを見届けてからトラムに飛び乗って、今度はA・ルコック・アレーナに移動。この国で最も有名なクラブ、フローラ・タリンとJKタメカ・タルトゥの試合を観戦しました。「A・ルコック・アレーナ」は2001年に完成したばかりの約1万人収容の近代的なスタジアム。エストニアFAが所有しており、エストニア代表のホームとしても使われています。フクダ電子アリーナを小ぶりにしたような感じでした。

 この試合は17時開始でしたから、試合が終わるともう19時。本当に寒さが身に沁みました。

 7度くらいはありましたから、気温だけなら大したことはありません。しかし、「寒さ」を語る上で大事なのは風です。この日のタリンはフィンランド湾を超えて北からの強風が吹きつけていたのです。強風によってまさに体温を奪っていかれるような感覚でした。

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