人はなんのために、サッカーを観戦するのか……。いまさらながらそんなことを考えてしまうのが、厳寒のスタジアムの北風吹きすさぶスタンドでの、凍えながらのサッカー観戦なのである。でも、それほどつらい思いをしてまでも、今週も世界中で人びとはサッカー場に出かけるのです。
■15日間連続で24試合を観戦!
明けましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか?
サッカー観戦をする身にとっては、この時期は1年で最も多忙な日々かもしれません。
12月後半から1月初めにかけては毎年いろいろな大会が開催されています。メジャーなところでは天皇杯全日本選手権や全国高校サッカーなどがありますが、皇后杯全日本女子選手権や、年代別の男女の各種の大会も同時並行的に開かれています。そのうえ、今シーズンは夏に予定されていた日本クラブユース選手権大会が延期されて年末に開催されたり、JリーグYBCルヴァンカップ決勝が1月4日に入ったりしたものですから、さらに試合日程は過密となり、僕は12月23日の水曜日から1月6日の水曜日まで15日間連続で試合を見続けることになりました。
年末年始には寒波も訪れ、しかも1日に2試合観戦することも多かったので(僕はこの15日間で24試合を観戦しました)、体は冷え切ってしまいました。
サッカー観戦は暑さ寒さとの戦いでもあるのです。
これまで経験した中で一番暑かった試合については、『蹴球放浪記』第12回の「乾燥サウナから蒸し風呂へ」の巻で書きました。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)でのことでした。では、これまででいちばん寒かったのはどこだったでしょうか? 僕がまず思い浮かべるのはバルト三国の一つ、エストニアでの試合です。
エストニアを訪れたのは、2005年にジーコ監督の日本代表がラトビアとウクライナに遠征した時のことです。僕は「ソ連崩壊後に独立したバルト三国全部に行ってみよう」と思って、最初はリトアニアに入り、そこからバスでラトビアの首都リーガに移動。ラトビア戦を見てからウクライナのキエフまで飛行機で往復。リーガから再びバスに乗ってエストニアの首都タリンまで行ったのです。