2020年の暮れ、押し詰まったわずか3日間のうちに、サガン鳥栖の下部組織が2つの年代の全国大会で優勝を飾ってみせた。ともにノックアウト方式の大会であり、簡単にできることではない。しかし、ここ数年、鳥栖はU-15でもU-18でも、毎年のように好成績を残しているのだ。驚異的な勝負強さの理由はどこにあるのか――。
■ サガン鳥栖が2つのカテゴリーを制覇
ご承知の方は少ないかもしれないが、年末に開催された年代別の2つの大会でサガン鳥栖が連続して優勝を遂げた。
まず、12月28日に行われた高円宮杯全日本U-15選手権の決勝戦でサガン鳥栖U-15が鹿島アントラーズつくばジュニアユースを破って3年ぶりの優勝を決めた。そして、翌29日には日本クラブユース選手権(U-18)準決勝でサガン鳥栖U-18が同じ鹿島のU-18世代であるアントラーズユースと対戦して再び勝利。12月30日の決勝戦では、育成部門では定評のあるFC東京U-18と対戦して勝利。わずか3日間のうちに2つのタイトルを獲得してしまったのだ(優勝はU-15では3年ぶり2度目。U-18では初)。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、2020年シーズンはユース年代の大会の多くが中止に追い込まれた。
U-18年代では、最高峰の大会とされる高円宮杯プレミアリーグが中止となった。
毎年、イーストとウェストに分かれてリーグ戦が行われ、12月に東西の王者同士でファイナルが行われて日本一が決まるのだが、2020年シーズンは各地域別のプリンスリーグ(関東のみ「プレミアリーグ関東」と「プレミア」の名称が使われた)が行われただけで、全日本規模の大会ではなくなってしまった。サガン鳥栖も2019年のプリンスリーグ九州で優勝し、プレミアリーグ・ウェストに昇格することを決めていたが、プレミアリーグでの戦いができなくなってしまった。さらに、年末に行われていたJユースカップも中止が決定する。
つまり、この年代の全国大会としては日本クラブユース選手権大会と全国高等学校選手権大会の2つだけになってしまったのだ。そして、例年真夏に行われていた日本クラブユース選手権大会は12月開催に変更された。
U-15年代でも事情はほとんど同じだ。
その各世代で「唯一」となった2つの全国大会で、サガン鳥栖の下部組織はタイトルを独占してしまったのだ。