■U-15年代の驚くべき戦績
サガン鳥栖はこの年代、とくにU-15年代ではこれまでにもいくつものタイトルを獲得した経験がある。年代別に整理してみよう。
●U-15
日本クラブユース選手権(U-15)大会
優勝2回(2017年、19年)
高円宮杯JFA全日本U-15選手権大会
優勝2回(2017年、20年)
九州ユース(U-15)リーグ
優勝6回(2014~17年、19、20年)
●U-18
日本クラブユース選手権(U-18)大会
優勝1回(2020年)
高円宮杯JFA U-18プリンスリーグ九州
優勝3回(2017~19年)
こうした過去の実績を見れば、ここ数年のサガン鳥栖の下部組織の充実ぶりが理解できるだろう。とくに、高円宮杯JFA全日本U-15選手権では、過去4大会のうち3大会で決勝に進出している。
2017年の第17回大会で初めて決勝に進出したサガン鳥栖U-15は、FC東京U-15深川と対戦。延長まで戦って2対2で引き分け、PK戦で勝利して初優勝。2年後、つまり2019年大会決勝ではガンバ大阪ジュニアユースに敗れて準優勝に終わっている。
ノックアウト式トーナメントで行われるこの種の大会で4年間のうちに3度決勝に進出するというのは、それだけでも“驚異的”と言うことができる。
ノックアウト式トーナメントを勝ち上がることは難しいことだ。
たとえば、2020年シーズンのJ1リーグでは圧倒的な強さを発揮した川崎フロンターレも、JリーグYBCルヴァンカップでは準決勝でFC東京に敗れて敗退し、「三冠」の夢は潰えた。川崎は天皇杯JFA全日本選手権大会では優勝を飾って、ダブル・チャンピオンとなったが、これも2020年大会が特別なルールの下で行われ、J1リーグからは優勝チームと準優勝チームのみが参加する形式となったからだったともいえる。
つまり、川崎は準決勝(ブラウブリッツ秋田)と決勝(ガンバ大阪)に勝っただけで天皇杯を手にできたのだ。通常のように、2回戦から戦っていたとしたら、今シーズンの川崎がいかに強かったとしても、決勝戦まで辿り着くことは容易なことではない。
決勝戦が毎年のように同じようなカードになるラグビーとは違って、サッカーは番狂わせが起こりやすい競技なのだ。