■陰のMVPは?

 前線へのフィードや自身が前に出るプレーが得意で空中戦にも強いセンターバックである森重は、もともとボランチの選手として大分トリニータに加入してキャリアをスタートさせた。FC東京移籍後もボランチとして出場することはあったが、もう10年以上前のことだ。イメージ的にはアンカーにピッタリだが、2ボランチではなく1人で務めるアンカーにフィットするには時間がかかった。最終ラインに吸収されないようにすることや、スペースを空けすぎないようにしつつどこまで食らいつくかの判断は、トップレベルの試合で経験を重ねてものにしていかなければならない。

 ここでACLの存在が大きいものになった。国際試合で強度の高い相手に対して経験を積み、J1の最終節、ヴィッセル神戸戦で課題を再確認したうえで満を持してこの決勝戦に臨む形になった。どこにピークを持っていくか、という点をイレギュラーな日程さえも利用して長谷川監督が見事にコントロールしたと思えるほど、森重の働きぶりは素晴らしかった。レアンドロがMVPだったが、陰のMVPは森重で間違いない。

 様々なことがありながらもようやく2020年を終えることができた。全日程を消化できたことを全ての関係者に感謝しつつ、新しいシーズンでは時間が経つごとに明るい知らせが多くなっていくことに期待したい。

PHOTO GALLERY 2020ルヴァンカップ決勝 柏ーFC東京
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