まずはエンゴロ・カンテのアンカー起用だ。無尽蔵のスタミナでボールを刈ることができるカンテに守備を任せ、カウンターのキーマンにさせる。単純明快な理由だが、実際の試合になればそう簡単にはいかない。アーセナル戦ではミケル・アルテタ監督の作戦でエミール・スミス・ロウにカンテを試合から外されて機能不全に陥り、この試合ではグアルディオラ監督の作戦でラーヒム・スターリングをぶつけられたことで、カンテが剥がされて後手に回る場面が続出した。
もちろんカンテには1人でアンカーを務める力はある。しかし、相手に戦術としての対抗策を持たれた場合には流石に個人ではどうしようもない。その状況に対して新たな一手を打つのは監督の仕事だ。試合中の修正をすることが苦手ならば、チーム全体の約束事を徹底して試合に臨むべきだが、アーセナル戦での苦い経験があるにも関わらず、ランパード監督はいまだに策を示せていない。
カンテの左右に広がるスペースをウイングの選手が戻ってカバーすることが望ましいが、カウンターでケビン・デ・ブライネに決められた3点目のシーンで、偶然とはいえ最終ラインの1人になっていたハキム・ジヤシュが全く守備に参加する気がなかったことを見れば、細かい取り決めや意識の徹底がなされていないことは明らかだ。