■川崎の選手たちに意識の変化が
後半に入ると川崎はさらに攻撃の圧力を高めた。しかし、やはり何度かの決定機を阻まれてしまった。「このまま時計の針が進んでいくと、川崎にも焦りのようなものが出てくるのではないか……」。そんなことを考え始めた矢先の55分、L・ダミアンからの縦へのボールを受けた三笘が落ち着いて決めて、ついに川崎が1点を先制した。
リードされたG大阪はそれまで左サイドにいた宇佐美を中央に置き、トップ下にいた倉田秋を左サイドに出して反撃の構えを見せたが、まるで戦意喪失したかのような状態でほとんど攻撃の形を作れなくなってしまった。川崎が、その後も何度かあった決定機で2点目を決めることができていれば、その時点で“勝負あり”だったことだろう。
だが、リードした後も川崎のシュートは正確には飛ばず、時間の経過とともに川崎の選手たちの間には「このままゲームを終わらせたい」という意識が見え隠れし始めた。こうして川崎が2点目を奪えないまま80分を過ぎたところで、G大阪は渡邉千真の投入をきっかけに総攻撃をしかけてきた。何度か同点機もあったし、川崎のGK鄭成龍(チョン・ソンリョン)にもキャッチミスが出た。すると、川崎の鬼木達監督は次々とフレッシュな選手を投入し、運動量を増やすことで逃げ切った。
G大阪としては“2失点目”が致命的になるのが怖かったことは理解できるが、もう少し早い時間から反撃に出るべきだったろう。
いずれにしても川崎の完勝であることは間違いない。最後はG大阪の攻撃を必死で跳ね返し続けた戦いぶりを見ると、川崎にとってこのタイトルがいかに欲しいものだったのかがよく分かる。