■下げられたガンバ大阪のDFライン
G大阪が高い位置でのインターセプトを狙っているということに気づいた川崎の選手たちは、すぐに攻撃の仕方を切り替えた。最終ラインからのロングボールを使って、まず相手の守備ラインを押し下げる試みを繰り返したのだ。15分には縦パスを3本つないでレアンドロ・ダミアンのシュートまでつなげた。
G大阪としても11月の試合でロングボールから失点を重ねた経験があるから、恐怖心を持っている。そこで、川崎のロングボールに対してはラインを下げざるを得ない。4バックに加えて、右サイドの小野瀬康介も下がって5バック気味となるのはプラン通りだろうが、ラインを設定する位置は明らかに下がりすぎてしまっていた。
相手の守備ラインが下がってくれれば、川崎は楽だ。中盤でのインターセプトを心配する必要がなくなり、長短のパスをつないで本来の川崎らしい攻撃を展開することができる。実際、15分の縦パスからのL・ダミアンのシュートの直後には、アタッキングサードで短いパスを回す攻撃を展開することに成功した。そして、これで川崎は完全にゲームを支配してしまった。
以降、僕の観戦ノートには川崎の攻撃パターンばかりがメモされるようになっていく……。
しかし、家長やL・ダミアンなどが何度も決定機をつかむのだが、この日の川崎はなかなかシュートを枠に飛ばすことができない。G大阪のDF陣も最終ラインでよく頑張ったし、GKの東口順昭も好プレーを続けた。だが、それ以上に川崎のフィニッシュに正確性が足りていなかった。