繰り返される悲劇!神戸も被害の「VAR過剰介入」(3) アジアのレフェリーたちの「誤解」の画像
佐々木大樹(ヴィッセル神戸) 写真:AP/アフロ

※第2回はこちらより

2020年ACL(AFCチャンピオンズリーグ)に初出場したヴィッセル神戸は、VARでゴール判定を覆されて準決勝の蔚山現代(ウルサン・ヒュンダイ)相手に力尽きた。いつか見た光景だ。またしてもアジアの大会で、VARが優勝の行方を左右する介入を行った――。

西大伍が倒されたケースでは

 こうした問題がいくつも存在したACLだったが、VARが介入した結果、正しい判定が導かれたケースもたくさんあった。

 決勝戦でのメヘディ・シリによるハンドの場面もそうだ。また、準々決勝の水原三星戦でヴィッセル神戸の西大伍が倒された場面もそうだった。

 1点を追っていた前半35分、抜け出した西大伍が後ろからのチャージを受けて倒された場面で、主審はPKを宣告し、張鎬翼(チャン・ホイク)にイエローカードを提示した。だが、ここでVARが介入。PKの判定は直接FKに変更され、また張鎬翼の警告が取り消されて金泰煥(キム・テファン)が一発退場となった。

 この場面、神戸の古橋亨梧が見事にジャンプした壁の下を抜いてFKを決めたから良かったが、もしFKが入っていなかったとしたら、神戸にとっては不利な判定の変更となっただろう。しかし、結果がどうあれ、この場面でのVARの介入は当然のことで、VAR本来の役割が果たされた場面だった。

 この場面で確認されたのは、まず「PKかどうか」という点だ。西が倒れ込んだのは明らかにペナルティーエリアの中だったが、接触があったのはペナルティーエリアのほんの少し手前だった。したがって、PKではなく、直接FKというのが正しい判定だ。

 また、VARの重要な役割が主審が反則を犯した選手を間違えてカードを提示する「人間違い」のチェックだ。この場面でもVARによって「人間違い」が訂正されて、反則を犯した本人である金泰煥にカードが示されたのだ。ちなみに、イエローカードがレッドに変更となったのは、PKではなくFKとなったためだ。金泰煥のプレーは「決定的得点機会の阻止」だったので本来なら退場となるべき反則だったが、最初はPKと判定したので、いわゆる「三重罰」にならないようにイエローカードが示されたのだが、判定がFKと覆ったために金泰煥には退場処分が下された。

  1. 1
  2. 2