「J2に別れを告げる45分!」
スタジアムDJの煽り文句で始まった後半は、両チームの良さを凝縮したものになった。1点を追いかける徳島ヴォルティスは、あと6点を奪いたいアビスパ福岡の激しいプレスに負けず、止まらない連動と積極的な1vs1でマークを剥がした。岩尾憲を中心に試合を組み立て、それぞれが相手を剥がしながら前線を目指す独特のスタイルは、リカルド・ロドリゲス監督が4年をかけて徳島に植え付けたものだ。連動している選手たちが豊富な選択肢を持ちながらもリスクを取って1vs1を仕掛けていくのは、たとえボールを失っても即座に取り返せるからだ。
福岡は最後まで1-0での勝利を良しとせず、鋭い出足と速攻で本気で7-0を目指した。徳島は、7点差で負けない限り優勝、という状況でも、終盤のコーナーキックではゴールキーパーの上福元直人が攻撃に参加してまで同点を目指した。良さと意地がぶつかり合い、J2に別れを告げるのにふさわしい一戦だった。
結局、ハーフタイムと同じ1-0のままで試合は終わり、勝ち点84で並んだ2チームが来年のJ1に参戦することになった。そして「J2に別れを告げる」は新たな意味を持つことになった。