「漂っていた」は「消えていた」と同じで悪い出来だった時によく使われるが、この試合のカンセロに関してはそうではない。

 この動きは、相手のマークにズレを生じさせるためにペップ・グアルディオラ監督が仕込んできた作戦だ。

 カンセロがそういう場所ではボールに触らない、というのは結果的にであって、無視してフリーにするわけにはいかない。イレギュラーなポジションを取られるため、相手はそこのケアに1人充てなければならない。そうすると、その選手が本来担当するはずだったケビン・デ・ブルイネやベルナルド・シルバがサイドに流れた時に後手に回ってしまう。

 シティはシンプルなワンツーで一気にビッグチャンスを迎えるケースが多いが、それは選手個々の能力の高さだけではなく、グアルディオラ監督が作り上げてきた機械のようなポジショナルプレーが成せる業だ。それをよりやりやすくするためのカンセロのポジション取りだった。

 それでも、サウサンプトンも前半のうちに対応してみせた。

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