観客がわくわくするのと同じように、取材していながらもわくわくする時がある。ビッグチャンスが生み出された時や、ゴールを決めた選手が目の前に走ってきた時はもちろんだが、単純に選手の動きや表情そのものを楽しみながら撮影していることも多々ある。
今回は、J1で活躍している中から、撮影していて面白い選手たちを紹介する。撮影している時の気持ちや、写真になった時の様子を踏まえてピックアップした。
スタンドから写真を撮っているファンの方々や、雑誌で情報を得ることがほとんどだった時代を経験したことがある方々だけではなく、サッカーの楽しみ方としてこういう切り取り方もあり得る、ということを、写真ではなく動画でサッカーに触れることが主体になっている若い世代のサポーターの方にも知っていただければ幸いだ。
◎写真になって独特さが際立つ選手
フィニッシャーとしても、パスの出し手としても、ドリブラーとしても、献身的なプレーヤーとしてもハイレベルで、東京のサッカーを司っているディエゴ・オリヴェイラ。体全体がダイナミックにグニャグニャと柔らかく動く様子は、まるでダンスを踊っているようだ。腰、肩、肘の可動域の広さを存分に発揮して独特な体の動かし方で相手に的を絞らせず、タイミングを外す。その姿は、切り返しやPKの場面で顕著にあらわれ、写真になるとますます独特さが際立つ。
気合いや怒りを表情にハッキリ出す選手でもあり、アウトオブプレーになった時もレンズを向け続けたくなる。血管が浮き出るほど感情を爆発させたかと思えば、子どもに向けた優しい笑顔でゴールを祝う。動きにも表情にも人間のあらゆる魅力がギュッと凝縮しているようで、常に変化があり、どれだけ撮っても飽きることがない。