■メキシコから入国できた数少ない国
セルビアとロシアについては早い段階からオランダへの入国が難しいことがわかっていたので、浅野拓磨(パルチザン・ベオグラード)と橋本拳人(ロストフ)の招集は断念した。しかし事態は日々刻々と動いており、FIFAからは、国、あるいは自治体の防疫方針に従うという通達が出ていたため、国別だけでなく、地域別の状況も知っておかなければならない。JFAは、試合の直前まで、試合ができるのか、選手たちの安全を守れるのか、気を抜くことができなかった。
11月の活動では、「ドイツ」というくくりではなく、州などの自治体の方針により、大迫勇也(ベルダー・ブレーメン)と堂安律(アルミニア・ビーレフェルト)を招集することができなかった。
11月の活動には、また違った問題があった。メキシコとの対戦は、森保監督の希望もあり、早い段階から決まっていたのだが、オランダには、メキシコからの入国に制限があった。そこでオランダにいる間にJFAのスタッフがオーストリアに行き、練習場、ホテル、試合会場などを見定めてきた。メキシコもオーストリアにははいれるという状況だったので、オーストリアに落ち着いた。実はこの時期、メキシコが入国を許可されたヨーロッパの国は多くはなかった。
「試合が決まったころには、ウィーンを除けば感染状況はそれほど悪化していませんでした。少し離れたグラーツという町を選んだので、なんとかできるのではないかと思いました。試合の直前になってロックダウンということになりましたが、JFAの事務方がオーストリアの日本大使館と連絡を取り、開催できるという話を受けて安心しました」