■煙が目に染みるJリーガーも
現在のJリーグでは、喫煙する選手はほとんどいない。現代のサッカーは20年前とはまったく様相が違い、1試合に12キロも走らなければならない。ただ走るだけでなく、スプリントを次々と繰り返すことを求められる。フィジカルトレーニングは厳しく、トレーニング中にも心拍計を付けられるなど、科学的にフィジカルコンディションがチェックされ、管理されている。だがそれでも、喫煙者は皆無ではないという。
欧州のトッププロでは、外出先で喫煙を目撃されたり、あるいは撮影されてスキャンダルになったことがときどき報じられる。だがジャッキー・チャールトンのようなユニホーム姿の喫煙写真など出ることはない。時代は完全に変わったのだ。
1990年代以降はスタジアムの広告看板からもタバコは消え、サッカー界は「アンチ喫煙」で統一されているように見える。日本サッカー協会のある「JFAハウス」にはことし3月まで「喫煙室」があり、そこにある飲み物の自動販売機を使うために、私などコインを握り締め、息を止めて行ったものだが、「改正健康増進法」の全面施行により、4月から敷地内を全面禁煙にした。敷地周辺の公道上も喫煙は禁止されているので、愛煙家の職員は苦労しているのではないか。それとも、これを機に禁煙することにした人もいるのだろうか。
もっとも「JFAハウス」は2月末から緊急事態宣言解除まで閉鎖され、その後も職員は原則として「テレワーク」。事務局で仕事をしなければならない人も人数を制限される状況が続いている。私も2月までは月に数回JFAハウスに行っていたが、2月以来、東京・御茶ノ水のJFAハウスに足を向けたことはない。本当に「喫煙室」がなくなったのか、実見したわけではない。
ときどき、「どうしてこの選手が日本代表に選ばれないのだろう」と不思議でならない選手がいる。Jリーグの試合を見る限り、選ばれて当然と思うのだが、なぜかけっして選ばれることがない。そんなとき、もしかして喫煙の問題があるのではないかと勘繰ってしまう。だがそんなこと、誰に聞いても教えてもらえない。サッカー界でタバコの話をするのは、やはり「タブー」らしい。「さあ~?」と、首をひねられ、「けむに巻かれて」しまうのだ。