イタリアという情熱の国で、ルカクは躍動する。だが情熱だけでは物事は動かない。ルカクには規律と労働の精神があった。
ルカクは試合の流れや展開に左右されない。オープンな試合であれ、相手が引いて守る試合であれ、彼は前線でパスを受け、ボールを収め、攻撃に継続性を与える。チームメートのためにタメを作り、スペースメイクをする。
ルカクのプレーはさながらバスケットボールの優秀なセンターの選手のようだ。ゴール前でリバウンドやシュートをするところから始まり、そこから離れてジャンプショットやスリーポイントを放つまで仕事をこなす。フィジカルベースの高さに試合解釈能力が加わり、ルカクという選手はアルティメット化してきている。
インテルの「9番」はマウロ・イカルディからルカクに変わった。イカルディは、こんにち、パリ・サンジェルマンでネイマールやキリアン・ムバッペを生かしている。
ルカクはインテルでラウタロ・マルティネスを、またベルギー代表でケヴィン・デ・ブライネ、エデン・アザールを生かしている。アントニオ・コンテ監督の【3-5-2】とロベルト・マルティネス監督の【3-4-3】、守備的なフットボールと攻撃的なフットボールに適応する稀有な選手だ。
味方のために動き自分でもゴールを奪えるスアレスやルカクのようなプレーヤーが、現代フットボールの前線には求められている。