バルセロナから見えたスペインサッカーのコラソン(2) 知られざるマシアの内情 の画像
バルセロナのマシアではこの若さから激しい競争が繰り広げられている 撮影/渡辺航滋
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サッカーに携わる仕事をしたい――。そう願ってスペインへと渡った男には、現地で肌を通じて学んだからこそ見えてきた、ピッチ内外でのスペインサッカーの真の姿がある。世界的名門FCバルセロナの高名なるアカデミー「ラ・マシア」の内部を垣間見、久保建英とも知己を得て、現在では通訳も務めた元スペイン代表FWダビド・ビジャとビジネスパートナーとなり世界を視野にフィールドを広げる神蔵勇太氏に、スペインサッカーの真実、コラソン(魂、真髄)を聞いた。 

■練習から非常に厳しい要求の突きつけ合い

 バルセロナが誇るアカデミー、「ラ・マシア」(以下、マシア)には、あらゆるところから才能が集う。人材の育成という観点からすれば、非常に華やかだ。だが、美しい花を咲かせるための土壌を耕す作業は、誰もが耐えられるものではないようだ。 
 
 その様子を見てきた神蔵氏が語る。 
 
「競争は非常に激しいですし、1年で退団する選手も多くいます。バルサのカンテラの中では、チームメイトとの関係はプロの世界のようです。勝利を一緒に目指す仲間でありつつ、ポジション争いのライバルでもある。さらに、新加入の選手もどんどん入ってきます。毎年1月から2月には新しく入ってくる選手のニュースが上がってきて、3月から4月にかけて『来季はないよ』という肩叩きが9歳の子どもに起こり得る。そんな環境です。 サッカーの厳しさを常に実感する場所だと思います。 

 シーズン中、トレーニングの見学にもよくうかがっていたのですが、とにかくパススピードが速いんです。さらに、ミスが起きるような、受け手が苦手とする方の足への厳しいパスを出し合います。まるで『イージーミスをするようなら、このクラブには要らないよ』と突きつけるような緊張感が、常に練習にはありました。試合でもそうですが、トップエリートである自覚とパフォーマンスレベルを高めなくては、周りに置いていかれます。本当に厳しい場所だと思います。ただし、あの負けず嫌いがあるからこそ、厳しいプレー要求にも応え続けていけるし、自分たちで高め合うことができているというのも事実だと思います」 

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