■「ボランチはチームの中心でなければ」
森保一監督のチームでは、16年のリオ五輪世代がボリュームゾーンとなっている。パナマ戦では植田、室屋、橋本、南野が先発し、浅野拓磨と鎌田大地が途中出場した。この日はピッチに立っていない鈴木武蔵と伊東純也もリオ五輪世代である。
遠藤航は世代の中核だった。アジア予選からリオ五輪へ至るまで、一貫してキャプテンを任されてきた。ボランチのポジションで攻守の中心となり、リーダーシップを発揮していった。22年のカタールW杯への道のりでは、チームを引っ張っていく存在にならなければいけないとの自覚を持つ。
「ボランチというポジションでW杯に出場するというのは、チームの中心的存在になっていなければいけないと、僕は思っています。18年のロシアでは試合に出られずに悔しい思いをしたので、22年のカタールは必ず出たい大会です。W杯に出場するという目標を掲げることは、代表でしっかりと中心になってプレーするということと同じで、それだけの覚悟を持ってならなければいけない」
10月のカメルーンとコートジボワールでは、吉田麻也、酒井宏樹、冨安健洋の「個の力」が際立った。彼ら3人が並ぶ最終ラインは、チームのストロングポイントになることを示した。
柴崎岳と遠藤のダブルボランチも、10月の2試合で優れた関係性を披露していた。そして、この日のパナマ戦でも申し分のないプレーを見せた。
前半だけで退いた橋本拳人が、低調なパフォーマンスに終始したわけではない。ディフェンス面で危ういボールの失いかたをしてしまったものの、攻撃では1トップ+2シャッド―に意欲的にかかわっていった。10月の活動に参加していないことも、考慮するべきだろう。ただ、柴崎と遠藤を押しのけて先発に食い込むのは、橋本だけでなく誰にとっても簡単ではないのも確かだ。
「ここまでちょっとずつ、ちょっとずつですけれどしっかりとステップアップしてきて、今シーズンはブンデスの1部でどれだけできるか、コンスタントに自分のプレーを出せるか。そこは非常に楽しみなんです」
遠藤が今シーズン開幕前に語っていた自らへの期待感は、すでに確信へと変わっているに違いない。パナマよりも明らかにレベルの高いメキシコを相手に、遠藤はどんなプレーを見せるのか。はっきりとしているのは、彼の出来がチームを左右するということだ。