その中で、今季のチャンピオンズリーグで注目したいウィングがいる。ユヴェントスのフェデリコ・キエーザだ。

 イタリアといえば、守備の国である。「カテナチオ」といわれるゴール前に錠をかける戦い方で、一世を風靡した。優秀なDFやストライカーを輩出してきたイタリアだが、有能なサイドアタッカーというのはあまり記憶にない。

 守備面で規律が求められ、戦術理解度が高い必要があり、「10番」のような創造性、かつ得点力が要求される。創造性(ファンタジスタ的要素)と得点力(ストライカーが担当してきたタスク)の両立だけでも難しい。

 ただ、アンドレア・ピルロ監督の就任で、状況は変わろうとしている。「クリスティアーノ、キエーザ、(フェデリコ・)ベルナルデスキといった選手たちがピッチの幅を取らなければいけない。彼らは試合中にポジションを入れ替えてもいい。だけど誰が出てもやるべきことは同じだ」とは、ヴェローナ戦後のピルロ監督の言葉だ。

 サイドアタッカーにある程度の自由を与える。その代わりに、彼らはピッチの幅を取り、相手守備陣を広げなければいけない。そして、キエーザには突破力がある。ワイドに開き、1対1で突破する力を発揮できれば、ピルロ・ユヴェントスに新たな武器をもたらせる。

 16-17シーズン(セリエA27試合3得点3アシスト)、17-18シーズン(36試合6得点7アシスト)、18-19シーズン(37試合6得点3アシスト)、19-20シーズン(34試合10得点9アシスト)というのが過去数年でキエーザがフィオレンティーナで残した数字だ。年々、決定機に携わる場面は増えている。

 彼の父、エンリコ・キエーザは、元プロ選手だ。アタッカーとして名を馳せたエンリコを「覚醒」させたのはカルロ・アンチェロッティ監督である。また、アンチェロッティ監督はピルロを輝かせた指揮官でもある。次は、ピルロがキエーザを大きく成長させる。新たなウィンガーは、イタリアから出てくるかも知れない。

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