ジダン監督がポグバに求めていたのは「ボックス・トゥ・ボックス」の選手としての資質だ。

 その役割がバルベルデに与えられた。結果として、彼の存在はジダン監督に戦術のバリエーションをもたらしている。2019-20シーズン、【4-3-3】【4-4-2】【4-5-1】と複数のシステムを用いながら戦うことが可能だった。

 先のクラシコではマルコ・アセンシオ、ナチョ・フェルナンデス、ルーカス・バスケスと協働しながらバルセロナの攻撃の軸である左サイドを潰した。【4-3-3】なら右インサイドハーフに位置しながら、ボール保持時は2列目から飛び出し、ワイドにオープンに開き、ボール非保持時はカゼミーロの横のアンカー脇のスペースをカバーする。端的に言えば、バルベルデという選手は非常に使い勝手がいいのだ。

「もう無理だというところまで走り続ける。足が攣るくらいまでね。それが僕に与えられたタスクで、現在のセントラルハーフの役割だと思う」

 今季のリーガ初得点を記録したベティス戦後、バルベルデは語った。

 パハリート(小鳥)の愛称で親しまれる選手の、飛躍を見逃してはならない。

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