2020年10月13日の深夜。オランダ・ユトレヒトで行われた日本対コートジボワール戦の親善試合は、最終盤、柴崎岳のフリーキックから交代で入ったばかりの植田直通がヘッドでたたき込んだゴールによって、1−0で日本代表が勝利を収めた。史上初めて欧州組だけで組まれた日本代表は、0−0で終わった9日のカメルーン戦に続き、アフリカの強豪を0点で抑えたことになる。
この試合をサッカージャーナリストの後藤健生、大住良之の2人はどう見たのか。試合直後、深夜2時45分から始まった「激論」の話題は、日本代表の過去・現在・未来に及び、終わろうとする気配もなかったーー。
GK
シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)1992.02.03
DF
室屋成(ハノーファー/ドイツ)1994.04.05
吉田麻也(サンプドリア/イタリア)1988.08.24
冨安健洋(ボローニャ/イタリア)1998.11.05
中山雄太(ズヴォレ/オランダ)1997.02.16
MF
遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ)1993.02.09
柴崎岳(レガネス/スペイン)1992.05.28
伊東純也(ヘンク/ベルギー)1993.03.09
久保建英(ビジャレアル/スペイン)2001.06.04
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)1996.08.05
FW
鈴木武蔵(ベールスホット/ベルギー)1994.02.11
●途中出場
(61分)久保建英 → 南野拓実(リバプール/イングランド)1995.01.16
(73分)鈴木武蔵 → 原口元気(ハノーファー/ドイツ)1991.05.09
(85分)伊東純也 → 堂安律(アルミニア・ビーレフェルト/ドイツ)1998.06.16
(88分)室屋成 → 植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー)1994.10.24
後藤「だから11月にもう一回、試合をやりたいね。ただ、ヨーロッパ新型コロナの感染の“第二波”がすごいことになっているからね、各国とも。それでヨーロッパでできなくなっちゃったら……カタールでやるというのは?」
大住「カタールは良いかもね。カタールに行くという手はあるよね」
後藤「カタールはACLも全部やってくれるって言うから。カタールに頼んだら貸してくれるかもね」
大住「競技場がすごいらしいね」
―ワールドカップのですか?
大住「9月から10月にかけてACLの西グループをやったでしょ。9月だから気温が34度とかさ、そういう時に、ピッチ上は22度だったんだって。オープンエアーなんだよ、室内競技場じゃないのに、ちゃんと22度くらいで試合ができるの。ものすごく化石燃料を燃やしてるとは思うんだけどさ」
―そろそろ時間がきましたが、なにか言い残したことはありますか?MVPは答えが分かっているので、聞くのはやめておきましょう。
■「フィジカルはカメルーンの方がコートジボワールより上だった」
後藤「え? 植田でしょ?(笑)」
―その手がありましたね。監督にマルバツをつけるなら?
後藤「監督は……」
大住「この間のカメルーン戦よりも今日の方が楽だった、って感じた。相手の圧力がずいぶん違ったような気がしたんだけど。コートジボワールも真面目にはやっていたけど、カメルーン戦の相手の圧力はこんなもんじゃなかった気がする。連続プレスとか、日本は今日キーパーから1発で繋いでいたけど、あんなことをやったらガンガン襲われていたような感じがした。そういう印象はなかった?」
後藤「そんな違ったかなという気はするけど、たとえば前にジェルヴィーニョとか、あんまり動かなかった選手がいたってことと、あと向こうが途中でシステム変更をしたように、むこうの3-4-3と、日本の4-2-3-1がかみ合って、向こうが中盤でプレスをかけられなくなっちゃった。そんなとこかな」
大住「もちろん、日本はプレスをかけられなくするために、ボールを取ってからのトレーニングをして改善したのは確か、だと思うんだけど、それだけじゃなくてちょっと弱かったのかな。カメルーンのフィジカルと、コートジボワールのフィジカルって、今日のコートジボワールの選手のアップになった顔を見た時は、怖ええ、って思ったけどさ、フィジカルはカメルーンの方がすごかったよね」
■「日本サッカー協会には今後とも頑張ってほしい」
―後半になってシステム変更になってからは、結構な圧力がかかっていましたもんね?
大住「そうだね。吉田が言ってたよね。今日は相手の気合が、試合前から見ていたら、ウォーミングアップでスイッチが入ってなくて、後半に入ってくると思ったら、やっぱり入ってきた、って」
後藤「コートジボワールはベルギーと引き分けた(※1―1)から、日本なら大丈夫だと思ってたんだな。きっと。あちらとしては、ベルギー戦のほうがすごいと思ってやってるだろうしね」
―11月にまた「深夜の激論」ができれば良いですね。
大住「オランダでこの2試合をやった。今思えば、カメルーンもコートジボワールも日本もオランダにいるんだから、出来て当然かのように思うけど。8月の時点で、10月、11月に予定されていた予選が来年になりますよ、ってなってから、この試合をわずかな期間で実現させたというのは、そのアイデアもさることながら、本当にすごいよね。日本サッカー協会の国際的な調整能力というか」
後藤「そういう意味でも、昔からは考えられないような進歩だよね。それで他のスポーツも、っていう話がよく出るけど、やっぱり日本サッカー協会が、色んなヨーロッパとの関係を少しずつでも築き上げてきたことの結果だから、じゃあ他所も、とはいかないよね」
大住「国際性が全然違うよね。
そういう事ってアイデアがこり固まってはいけない。たとえばヨーロッパでやらなくてはいけない、オランダでまたやらなくてはいけない、オランダで出来る相手を探す、ではなくて。さっき言ったように、極端な話、カタールでやってもらうということだって、そういう選択肢を柔軟に広げて、とにかく11月に、こういう内容の活動をできるようにね、実現してほしいですね」