■玉井社長が“この人だ”と確信した小林伸二監督の一言

──フィロソフィーをしっかりと打ち出しているクラブはJリーグにも多いですが、その街に住む人々の気質をもとにしたものは珍しいと思います。一方で世界へ目を向けると、風土や気質が反映されたサッカーを見つけることもできます。

「そうですよね。ギラヴァンツのフィロソフィーは『ボランティア』、『フロンティア』、『イノベイティブ』、そして『諦めない』の4つのキーワードに絞って考え、サッカーのスタイルにすると“最後まで諦めずに勇猛果敢に、自己犠牲を恐れずに徹底的に攻め続ける”ことを目ざす。その前提は北九州の人たちの心の有りようなのです」

──北九州にゆかりのない自分が聞いても、現在の心の有りようが映し出されたサッカーは素敵です。もし当事者なら、どんなに誇らしいことか。

「北九州で生まれ育った私なら、地域に根差したもの、地域特性にあったものを言うことができます。小林さんは“フィロソフィーはいいですね”と言ってくださいました。

 ただ、私は新聞記者だったけれど運動部ではなかったので、“実は、サッカーは知らないのです”と正直にお伝えしたら、小林さんは“あなたのようなサッカーを知らない人に、僕はいまサッカーの楽しさを教えてあげたいと思いました”と言われたんです。その瞬間にこの人しかいない、と確信しました」

──その言葉は感動しますね。絶対に妥協をしなかった玉井社長の粘り勝ちですね。

「私は新聞記者として、いろいろな人間を見てきました。政治家や官僚、作家、犯罪者にも会ったことがあります。そこだけが私の強みだと思っていました。決して人を見る目があるなどとは言いませんが、“この人だ”と思ったらおよそ外れないかな、とは思います。私は、小林さんの人間性に惹かれたんです」

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