その代わりに入場料収入は14位と健闘しており、こちらはトップ「18枠」に入っている。そして、チーム人件費は18枠ギリギリの18位。昨年J2の柏や大宮よりも低く、J2千葉やJ2長崎に肉迫している。MFイサック・クエンカやFW赤崎秀平、スペイン人FWゲデス、ブラジル人DFパラなどの獲得で、今年の仙台は人件費が増大したとの声もあるが、2018年度から数字はほぼ変わっていない。それまでの人件費をうまく調整して、あるいは、獲得費用を抑えたと見るべきだろう。つまり、支出よりも収入が減ったことが問題なのである。

 また、仙台は女子チームであるベガルタ仙台レディースがなでしこリーグに所属している。が、そのベガルタレディースの経営権を「マイナビ」に来年から譲渡することが決まっている。仙台としては、なりふり構わぬ支出抑制策にすでに打って出ているということだろう。

 収入は減った要因は説明するまでもない。この新型コロナウイルスで、「観戦環境」と「スポンサーの 経済状況」が変わったことだ。仙台が本拠とするユアテックスタジアムの収容人数は1万9694人で、昨年の1試合当たりの観客者数は1万3270人。それが現在は、最高でも3400人まで制限している。直近では、2191人(9月13日、大分戦)、2871人(9月5日、G大阪戦)、2718人(8月15日、清水戦)となっている。

 この穴埋めは容易ではない。政府のイベント制限緩和を受けて、Jリーグでも段階的に受け入れ観客数を増やす方針だが、仙台はソーシャルディスタンスの確保のため、3400人を維持する方針だった。今後、改善する見通しは何もない。

 同時に、「スポンサーの経営環境」も苦しい状況にある。先行きが見えない中で、支出を増やす企業がどの程度あるのか不透明だ。救いは仙台の胸スポンサーであるアイリスオーヤマは2020年12月期のグループ全体の売上高が、前期に比べて40%増だが、完全な親会社でもない企業に、10億円単位の補填をお願いすることは難しいだろう。仙台は人口こそ109万人を数えるが、“支店経済”と揶揄されるように、仙台に本拠を置く大企業は少ない。何より、2011年の東日本大震災の影響は、宮城県内各地でいまだに色濃く残っている。

 仙台の抱える問題は、かなり複雑と言わざるを得ない。

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