「緩める時間じゃないぞ!続けるよ!」
聞いたサポーターから、選手を後押しする拍手が起こった。
「待て!エリキが動いてない!」
これには、スタジアム全体から笑いが漏れた。
声の主は同じだ。横浜F・マリノスのキャプテン、喜田拓也。この試合のほとんどをセンターバックのポジションでプレーした彼の声は、絶えずスタジアムに響いていた。
マリノスは開始早々に畠中槙之輔が負傷し、渡辺皓太と交代した。扇原貴宏がセンターバックに入って4バックになるか、チアゴ・マルチンスと両サイドバックでの3バックになるかと思いきや、3バックの中央にリベロとして喜田が移動した。
これが果たしてどう影響するのか。それはわからなかった。
エリキのゴールでマリノスが先制し、清水エスパルスが反撃し始めた13分、抜け出した仲川輝人を倒した立田悠悟が退場になったからだ。
22分にはあっさりと2-0になり、試合は決まった。
28分には3-0。その後もマリノスが主導権を握り続け、試合終了を迎えた。