■喜田のような存在がエスパルスには必要
エスパルスは鈴木唯人をDF(右サイドバック)としてメンバー表に並べたり、始まってみれば今季初の3バック(鈴木は右ウイングバック)でミラーゲームを仕掛けたりと、1カ月前のリベンジのために策を講じてきたが、早い段階でプランは崩れてしまった。
アンジェ・ポステコグルー監督とピーター・クラモフスキー監督の盟友対決が壊れてしまったことは残念でならないが、ここで思うのは先述の喜田の声だ。
試合の流れを決して自分達のせいで相手に渡すことがないようにする、という姿勢をチーム全体にしっかり伝えられる存在の有無がこの展開を生んだのではないだろうか。
立田のプレーはたしかに軽率だった。前半13分で1人少なくなってしまうことが、しかもマリノスに先制されている状況で、チームにどんな影響をもたらすのか。はたしてそれは1点を失うかもしれない場面をフリーキックに変えることと釣り合うのかどうか。今季の立田はディフェンスの要として成長中だったが、今回の勉強代は高くついた。
だが立田自身は、これを糧にすればいいだけだ。
それよりも、どんな状況であってもチームを引っ張っていこうとする檄がなかなか聞こえてこないことの方が気になる。もちろん、選手の声もコーチングやプレーが切れた場面であるが、最も多く聞こえてきた声は「ユイト!」と何度も指示を出すクラモフスキー監督のものだった。
エスパルスの次戦は裏天王山だ。