■「ブロックを下げてカウンターを狙うサッカーではない」

 北九州に逃げ切られてしまったものの、新潟の戦いは好印象を抱かせるものだった。

 試合後にマイクを向けられたアルベルト監督は、「サッカーはときに不公平な試合結果に終わることがある。多くのゴールを決めて勝つ可能性もあった」と話した。悔しい一戦となったわけだが、「プレシーズンから半年ほどが経って、チームは成長しているし、いいプレーを表現できるレベルに達している」とも語っている。

 北九州、V・ファーレン長崎、徳島ヴォルティスの上位3チームにに比べると前半と後半でプレーの出来に波があったり、試合によってパフォーマンスにばらつきがあったりするのが、現在の新潟の課題である。プレーの安定感に欠けるところがあり、それゆえに3強を追いかける第2グループから抜け出せないのだが、「我々はブロックを下げてカウンターアタックを狙うようなチームではない」という指揮官の言葉どおりのサッカーは興奮を誘う。

 とりわけ目を引くのは本間だ。アカデミー出身選手で初の背番号10を背負う20歳は、得意のドリブルがここにきてさらに切れ味を増している。J1でどれぐらいできるのか、いますぐにでも見てみたい選手だ。

 新潟がチーム全体のクオリティを上げてきたのは、夏の補強にも理由がある。

 左サイドバックの荻原拓也、ボランチとサイドハーフに対応する中島元彦は、ともに年齢別の日本代表経験を持つ。荻原は左足のクロスに見どころがあり、中島は右足のキックが正確かつパワフルだ。

 福田晃斗はJ1のサガン鳥栖で長くプレーし、今シーズンは湘南ベルマーレでプレーしていた経験豊かなボランチだ。そして、清水からストライカーの鄭大世を迎え入れた。

 荻原、中島、福田は、レギュラーと言っていい立場をつかんでいる。ここまでは途中出場の多い鄭大世も、本間や渡邉との連携は問題ない。限られた時間でも決定機に絡んでおり、彼が入ることで攻撃の迫力は倍増する。

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