■解任ブーストの功罪

 事態の収拾を図ったバルトメウは、第一にスポーツディレクターのアンドニ・スビサレッタのクビを切る。それまでの選手補強の失敗を暗に認め、いわば見せしめ的にスビサレッタをクラブの外に追い出した。加えて、会長選の前倒しが決断された。

 14-15シーズン、バルセロナはトリプレテ(3冠)を達成した。そして、2015年夏の会長選でバルトメウが見事当選を果たす。「解任ブースト」は効果覿面だった。いや、その後のー現在の含めーバルセロナを顧みれば、あの解任ブーストが成功体験として足枷になったとも言える。あそこで、バルトメウは味を占めてしまったのだ。権力という味を知ってしまったのである。

 かくしてバルトメウ政権が本格的にスタートした。2021年夏までの任期が、これほどまでに長い旅路になろうとは、誰も想像していなかった。

 正式に会長のポストに就いたバルトメウだが、就任から2年後に苦境が訪れる。ネイマールが突如として移籍を希望したのだ。

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