この夏、「メッシの退団騒動」が世間を大いに賑わせた。リオネル・メッシはバルセロナからの移籍を真剣に検討していた。現地時間8月25日にburofax(ブロファックス/内容証明郵便)を送り、9月4日に残留を明言するまでの11日、バルセロニスタの心は一向に落ち着かなかった。なぜメッシ退団騒動は起きたのか。そして、今後のバルセロナはどうなるのか。それは決して目を背けてはならない問題だろう。
■メッシとバルトメウの関係性
「自分の生涯のクラブと裁判で争うことは絶対にない。だから残留を決断した」とメッシは語った。一方で「会長は言葉を守らなかった」と付け加えている。メッシとジョゼップ・マリア・バルトメウ会長の関係が悪いのは、もはや自明だ。
メッシは2019-20シーズンを通じて退団希望をバルトメウ会長に伝えてきた。対して、バルトメウ会長はメッシが望む時に退団できると主張してきたものの、いざという局面で契約解除金7億ユーロ(約840億円)を要求した。
無論、クラブとしてはメッシほどの選手を契約下にある状況でフリーで放出することはできない。それは愚の骨頂だ。バルトメウが責められるべきはその点ではない。というより、もう少し遡って現会長の軌跡を追う必要がある。
そもそもバルトメウは暫定会長だったのだ。思い出して欲しい。2014-15シーズン、ネイマールの移籍問題が裁判沙汰に発展した。サンドロ・ロセイ前会長が辞職に追い込まれ、その時に副会長だったバルトメウが会長職に就いたのである。
準備のできていない人間をトップに据えて上手く機能するほど、クラブのマネジメントは甘くない。現在の欧州のフットボールシーンで、ビッグクラブと呼ばれるようなところではなおさらだ。当然と言うべきか、バルトメウとバルセロナにも困難が待っていた。2015年1月、ルイス・エンリケ当時監督とメッシの対立が表面化。レアル・ソシエダ戦でメッシがベンチスタートとなり、チームが敗戦したのが引き金だった。