トップ下を狙う場合、パコ・アルカセルと争うことになる。ジェラール・モレノの得点力は、ビジャレアルにとって絶対だからだ。そのパコ・アルカセルは、昨シーズン途中にドルトムントからビジャレアルに加入した。19/20シーズンでは、ドルトムントで11試合5得点、ビジャレアルで13試合4得点。これだけ見ると得点力はずば抜けているとは言い難いが、過去にはバルセロナに所属。リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールのMSNの控えとして2シーズンでリーグ10得点を挙げたほか、ドルトムントでは18/19シーズンに18得点を挙げている。スペイン代表としても、これまで19試合12得点。その潜在的な得点力は、ビジャレアルで大いに期待されている。
パコ・アルカセルからスタメンを奪うには、ジェラール・モレノとの連携をしっかり構築しなければいけないが、その当人がスペイン代表として戦列を離れている。その点、パコ・アルカセルはすでに一緒にプレーしているため、久保にとって分が悪いのだ。
こうした強力なライバルがいる中で、最も可能性が高いのが左サイドのポジションだ。プレシーズンマッチのバレンシア戦、レアル・ソシエダ戦でスタメンだったのはモイ・ゴメス。昨シーズンは37試合に出場したビジャレアルの下部組織出身の26歳は、レバンテ戦をフィジカル面での問題で出場しなかった可能性がある。そのため、あと1週間と迫った開幕戦で狙うとすれば、ここになるだろう。
ただし、左サイドでは問題もある。久保自身が慣れていないポジションであることもそうだが、左サイドバックのアルフォンソ・ペドラサとの連携がうまくいかないのだ。それが露骨に露呈したのがレバンテ戦で、互いに互いをうまく使って縦に行くこともなければ、中に入るといった動きもない。他人同士のように、ただパス交換をするしかなかった。久保としては、細かいパス交換の中からドリブルを発動してチャンスを作りたいだけに、これはかなり問題になってくるだろう。
とはいえ、本来、ペドラサは左のウインガーとしてもプレーするほど縦へのスピードに特徴のある選手だ。ペドラサとしても、そのプレーが有効にできていない。つまり、久保とペドラサは、互いに長所を生かせていないことになる。仮に、久保が左でポジションを取れたとしても、この関係性は懸念点だ。