■結局、齋藤の出番はなかったが……
結局、登録メンバーの変更はなかった。三笘は後半開始から投入され、負傷を感じさせることなく45分間プレーしきった。
三笘と旗手怜央。10連勝という快進撃を続けたチームのフレッシュな力は、仕切り直しになったこの試合でも元気だった。
左サイドに入った三笘は、ダンクレーに読まれることがあったものの、決して大人しくはならなかった。力を入れると踏ん張れずに滑ってしまうこの日のピッチ状態に臆することなくスピードを上げ、ボールを持つ度にヴィッセル神戸守備陣の注目を集め、ストレスを与え続けた。
旗手は、左サイドにいた前半は西大伍にコントロールされたものの、後半は右サイドにポジションを変えて自由に動けるようになった。
そして75分、三笘のアシストで旗手が同点ゴールを挙げた。
失敗があってもチャレンジを繰り返し、2人は成長し続けている。
終盤、レアンドロ・ダミアンが入ってくると、小林悠が右サイドに移った。中央に進出することももちろんあったが、シンプルかつ可能性の感じるクロスを複数供給し、今季初めてのフル出場で最後まで抜群の存在感を発揮した。
家長昭博も相変わらずの安定感を見せているし、離脱中の長谷川竜也もそろそろ戻ってくる。
齋藤の出番は、余程のことが複数同時に起こらない限り訪れそうにない。
この試合の記録のどこにもその名前は残っていないけれど、1人で練習をするあの姿を忘れることはできないだろう。