「メッシとバルセロナ」退団で一転の関係“蜜か、毒か…”(2)“王様”2つの移籍先の画像
写真:ロイターアフロ
マンチェスターシティとインテルのメッシ加入時の予想布陣図
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 メッシの退団要求によって、早くも次なる移籍先の名前が挙がっている。バルセロナがあと1年の契約を主張しているため、来年に延びる可能性もあるが、いずれにせよ、今年、あるいは来年中にメッシがバルセロナ以外のユニフォームを着ることが確実な見込みだ。

 メッシの退団要求があまりに突然だったため、また、バルセロナとの契約に関する認識の相違もあるため、具体的な移籍交渉はまだ進んでいないが、“メッシの移籍”について考えてみたい。というのも、メッシほどの実力があれば引く手あまたと思われがちだが、メッシほどの突出した実力があるからこそ、移籍はそう簡単ではないのだ。

 かつて、バルセロナの10番を付けた選手の中にリケルメがいた。ファン・ロマン・リケルメ。メッシと同じくアルゼンチン出身のファンタジスタだ。あだ名の「恐竜」は、絶滅したと思われていた古典的なゲームメイカーに由来する。自分の運動量ではなく、意外性と精確なパスによってチームを動かす。もちろん、スキルは圧倒的。見方によっては、メッシと被る。

 そのリケルメは、バルセロナ以外にボカ・ジュニアーズとビジャレアルに所属していた。しかもバルセロナはわずか1シーズン。なかなか一つのチームに長く定着しなかったが、その理由が彼のプレースタイルによるものだった。卓越した技術があり、主役として、王様としてプレーすればまばゆい輝きを放てるが、主役としてプレーできなければ輝くことができない。

 メッシはバルセロナで王様としてプレーをした。移籍シーズンのたびに、「メッシが獲得を進言した」「メッシが獲得に待ったをかけた」などと報じられ、チーム構成にも影響を及ぼしていたとされる。つまり、メッシが望んだ選手が多い中で、メッシが望むプレーで周りが支えている状況で、プレーしてきたわけだ。

 ただ、もし移籍した場合、それは通じない。新たな人間関係の中で、すでにできているチームのルールの中でプレーしなければならないからだ。その状態で、必ず輝けるという保証はない。アルゼンチン代表での活動ですら、メッシが輝けているとはいえない。

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