■穴を空けないポジショニングの決まり事とは
C大阪の守備の強みはポジショニングにある。
ボールの位置を最優先して、そこから選手たちがポジションを取っている。もちろんこれは、ボールに群がるという意味ではない。
ボールがある場所に応じて、選手たちがそれぞれ危険なスペースを埋めるということ。
長身オルンガを擁する柏が、鋭いクロスを再三送りながらゴールを決められなかったのも、攻撃側に問題があったというより、C大阪が正しい対応を見せたから。
CBふたりはサイドに釣り出されることなく、ゴール前の危険な場所に陣取り、逆サイドのサイドバックやボランチもしっかりと戻り、数的不利に陥ることも肝心なところに穴を空けることもなかった。
ボールの位置を最優先するポジショニングには、肝心なところに穴を空けないというメリットがある。
相手選手の位置でポジショニングすると、こういうことが起こりやすい。
立ち上がり5分のC大阪の先制点も、柏守備陣のポジションミスから生まれた。
一本のタテパスでブルーノ・メンデスに裏を取られた柏は、慌ててふたりのCBが帰陣。なんとかスピードダウンさせ、その間にふたりが援軍に駆けつけたが、それから対応がまずくほとんどフリーでシュートを許してしまった。
メンデスからパスを受けた清武に4人中3人が引きつけられ、しかも清武のキックフェイントに4人全員が釣られてしまったからだ。これでリターンを受けた、メンデスのシュートへの対応が完全に遅れた。
柏のネルシーニョ監督は守備の原則を叩きこむ術に長けているが、この対応はほめられない。
相手の3人に対して味方は4人。人数は足りていたのだから、正しいポジショニングをしていたら失点を免れた可能性が高い。