■いざ試合が始まると…
それでも、今年はセカンドユニフォームを着たサンフレッチェがレッズと戦っているところを撮りたいと思っていた。両者の因縁は続いていく、そんなストーリーを考えていた。
そして、期待通り、サンフレッチェは例のセカンドユニフォームで試合に臨むことになっていた。
しかし、実際に試合が始まると、そのユニフォームは因縁を深めるのとは逆の印象をもたらした。
もう2020年ですよ?
まだそんな話をしてるんですか?
そんな時代もありましたね、と言われている気がしてくる試合だった。
先制して耐え続けたレッズは3バックではなく4バックで、10年代に目指していたサッカーを完全に捨てていたし、そこかしこで実現していた元同僚同士のマッチアップは数えるほどもなくなっていた。当事者、といえる選手達やスタッフは、ここ数年で一気に減っていた。
20年代に入り、やり方を大きく変えようとしているレッズと、スタイルを継続しつつ若返ろうとしているサンフレッチェ。戦っているのは“今”の2チームだった。
試合終了と同時に喜びを爆発させた西川周作を撮る時には、元サンフレッチェ、ということはこれっぽっちも意識しなかった。