■有力若手の藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディ)
下の世代にも、有望な選手は多い。
たとえば、東京ヴェルディのMF藤田譲瑠チマ。昨年のU17ワールドカップでは全試合に出場した中心選手の一人だったが、今シーズンも東京ヴェルディのトップチームで素晴らしいパフォーマンスを示している。
東京Vは4-3-3のシステムで戦っているが、その逆三角形の中盤のアンカー・ポジションで多くの試合でフル出場を果たしているのだ。J2リーグというのは勝負の厳しさが特徴のリーグで、ボールの奪い合いなどかなり激しいものがある。そんな中で、まだ18歳ながら藤田はボール奪取能力ではJ2でもトップレベルだ。身長は172センチと小柄だが、バランスを崩して倒されても並外れた身体能力を生かしてすぐに起き直って再びチャレンジに行けるところが彼のストロングポイントだ。しかも、ボールを奪ってからは落ち着いて中盤でボールを回すこともできるし、チャンスがあればスルーパスも通せる。そして、試合を重ねるとともに自信をつけ、最近は自らドリブルで持ち上がるようなプレーもできるようになっている。
まさに伸び盛りである今、U19代表で多くの国際試合を経験することができれば、将来は日本代表でも中盤の守備を任せられる選手に成長する可能性がある。それだけに、U19代表に融合させるためのトレーニングキャンプが中止になってしまったのはとても残念なことだ。
10月にウズベキスタンで行われる大会で、日本はイラク、バーレーン、韓国と同じグループに入っている。そして、準々決勝で勝利して4位以内に入れば、来年インドネシアで開かれるU20ワールドカップの出場権が獲得できる。
日本は、このカテゴリーの大会では準々決勝で敗れて世界大会出場を阻まれたことが過去に何度もある。とくに、韓国にはいつも煮え湯を飲まされてきたが(2019年にポーランドで開かれたU20ワールドカップでは、ラウンド16で韓国に敗れて上位進出の夢を絶たれた)、今回は韓国と同じグループに入ったので、準々決勝で韓国と顔を合わせることはない。ただ、準備不足のままではグループリーグで敗れてしまう危険も増す。
影山監督によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大をいち早くコントロールした韓国では、すでにチーム強化のプロセスが進んでいるという。また、ベトナムも新型コロナウイルスによる死者数が少ない国だが、トルシエ監督のチームも着々と準備を進めているという。
U19日本代表にとっては、ウズベキスタンでの大会はこれまでとは違った意味での苦しい戦いとなることだろう。