■あらゆる年代の日本代表チームの強化が滞ってしまっている

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響でチーム強化が予定通りに進まないのはU19日本代表だけではない。あらゆる年代の、男女の代表チームの強化がすべて滞ってしまっているのだ。

 それぞれの年代別代表チームには、当面の目標がある。

 最初に紹介したように、U19日本代表はAFC U19選手権に出場して来年のU20ワールドカップ(5~6月・インドネシア)出場を目指す。同様に、U16日本代表はAFC U16選手権(11~12月・バーレーン)に出場。目指しているのは来年のU17ワールドカップ(10月・ペルー)である。

 さらに、女子の年代別代表はすでに2020年に開催される予定だったU20およびU17の各ワールドカップの出場権を獲得しており、新型コロナウイルス感染症の拡大ために延期された2つの大会は年明け早々に開催される予定だ(U20女子ワールドカップは1~2月にコスタリカとパナマでの共同開催。U17女子ワールドカップは2~3月にインドで開催。U20ワールドカップでは日本は2018年フランス大会に続く連覇を狙う)。

 こうした年代別のワールドカップに出場して、各国の同世代の選手たちとのプレーを経験することは、日本サッカーの強化のためには非常に重要なことだ。そうした経験を糧にして選手たちは大きく成長してきたし、代表も継続的にチーム強化を進めてきたのだ。

 ちなみに、日本は男女を通じて各年代別およびフル代表のワールドカップの直近の大会にすべて出場し、しかも、すべての大会でノックアウト・ステージ進出を果たしている。もちろん、U20女子ワールドカップで優勝した以外はすべてノックアウト・ステージ初戦(ラウンド16もしくは準々決勝)で敗れているというのは大きな課題ではあるが、男女を通じて全年代の大会でノックアウト・ステージに進出したのは日本を除いて他には例がない(ちなみに、ビーチサッカーのワールドカップでも、さらにはラグビーのワールドカップでも日本はノックアウト・ステージに進んでおり、そういう意味で日本は“世界有数のフットボール・ネーション”であると言える)。

 だからこそ、新型コロナウイルス感染症の影響による準備不足のせいで世界大会出場の流れを途切れさすことになるのは残念なことだし、将来のフル代表強化のために悪影響を及ぼしかねない由々しき事態なのだ。

※後編につづく

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