■久保を追うクラブ
また、以前から移籍先として噂されてきたのがレアル・ソシエダである。
ソシエダは今季、補強選手とカンテラーノを融合させ、ヨーロッパリーグ出場権を獲得している。そして、リーガで有数の魅力的なフットボールを展開するチームだった。
イマノル・アルグアシル監督は若い選手とカンテラーノに賭けてきた。久保がソシエダに移籍した場合、指揮官とクラブのフィロソフィーから、出場機会の確保が期待できる。ただ、気になるのはマルティン・ウーデゴールの去就だ。久保と同様にマドリーが保有権を有するウーデゴールだが、2年レンタルでソシエダに加入したため、基本的にはあと1年ソシエダでプレーする予定である。久保とウーデゴールのプレースタイルは似たところがあり、ポジションが被れば久保の成長に蓋がされてしまうリスクがある。
他にも、ビジャレアルやグラナダといったクラブが久保を追跡している。移籍に際して、争点はいくつかある。「年俸の負担」「レンタル期間」「(獲得側が)買い取りオプションをつけるかどうか」「(マドリー側が)買い戻しオプションをつけるかどうか」あたりがポイントになってくるだろう。
「久保は素晴らしいシーズンを送っている。定期的に試合に出ており、我々はまさにそれを求めていた。彼は現在と未来を担う、非常に興味深い存在だ」とはリーガ第31節、レアル・マドリー対マジョルカ戦前のジネディーヌ・ジダン監督の言葉だ。
ジダン監督が語るように、久保にとって大事なのは出場機会だ。プレータイムは与えられるものではなく、勝ち取るもの。しかし、それを得やすい環境に身を置くところから勝負は始まっている。そして、久保の2019-20シーズンはそのための布石として十分過ぎる価値があった。大事なのは次の一手。騒々しくなりそうな夏が、すぐそこに迫っている。