■争奪戦の様相
ミラン、アーセナル、パリ・サンジェルマン...。久保の新天地候補として、欧州の名門クラブや資金潤沢なクラブの名が挙げられてきた。スペイン『アス』によれば、およそ29クラブが久保に関心を示しているという。
だが久保はスペインに残るべきだろう。彼のスペイン語力、そしてマジョルカで発揮された彼の「傾聴力」が生かされるのはリーガ1部の舞台に他ならない。18歳~19歳にかけてのこの1年間の積み上げは大きい。ゆえに、その蓄積がつながる場所に行くのがベストだ。
第一に、スペインのラジオ局『オンダ・セロ』でベティスが久保の獲得を検討しているという報道が出た。ベティスは今季リーガを15位で終えている。欧州カップ戦出場権を逃しただけではなく下位に落とされた失意のシーズンだった。すでにマヌエル・ペジェグリーニ監督の招聘を決めており、次のシーズンに向けて始動している。南米のチリ出身であるペジェグリーニ監督はビジャレアルでサンティ・カソルラやフアン・ロマン・リケルメ、マラガでイスコやホアキン・サンチェスといったテクニシャンやドリブラーを育て上げた。
続いて、強い関心が伝えられたのがセビージャだ。こちらも発端は『オンダ・セロ』の報道だった。そこからスペイン紙『ムンド・デポルティボ』や地元紙『エスタディオ・デポルティボ』の電子版で情報が拡げられた。セビージャは2019-20シーズン開幕前に名物スポーツディレクターのモンチが復帰。ユレン・ロペテギ監督を招聘して再建に乗り出し、来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得している。
ベティスとセビージャが拠点を置くアンダルシア地方はスペインの南部に位置する。良く言えば陽気でオープンな人々がおり、悪く言えばラフな側面がある。清武弘嗣(セビージャ)、乾貴士(ベティス)といった選手たちはその土地で苦しんだ。ただ、マジョルカの関係者曰く、「抜群のユーモアセンスがある」という久保であれば、アンダルシアの地においても適応する可能性は高い。