■スタートするWEリーグの前途に暗雲が

 こうして、ベレーザ、神戸、浦和の激しい優勝争いが予想されるなでしこリーグだが、実は今、日本の女子サッカー界は大きな転換期に差し掛かったところだ。すなわち、2021年になでしこリーグの上位リーグとして新たにプロ・リーグ(日本女子プロサッカーリーグ)が発足することになっているからだ。「WEリーグ」という愛称も決まり、岡島喜久子氏の代表理事(チェア)就任が発表されたばかり。WEリーグは2021年の秋から秋春制で最初のシーズンがスタートする。

 日本の女子サッカー強化を考えれば、プロ化は避けて通れない課題だ。

 日本女子代表(なでしこジャパン)は2011年にドイツで開催されたワールドカップで優勝し、その後も2012年のロンドン・オリンピック、2015年のワールドカップ・カナダ大会でいずれも決勝に進出して、世界のトップチームとしての地位を確立した。

 しかし、その後2016年のリオデジャネイロ・オリンピックではアジア予選でよもやの敗退を経験。2019年のフランス・ワールドカップでもラウンド16での敗退に終わっている。

 日本の女子サッカー全体のレベルが上がっていることは前にも述べた通りで、2018年のU―20ワールドカップでは強豪国を連破して優勝を遂げている。だが、このところフル代表は結果を出せていないというのが現状なのだ。

 最近はヨーロッパでの女子の国内リーグの人気が高まっており、各国の強化も著しい。今のままの体制では日本の女子サッカーが世界と太刀打ちできなくなってしまうのは明らかだ。こうした状況を打破するにはプロ・リーグの発足しかない。「WEリーグ」が成功すれば、日本の女子サッカーの将来には大きな展望が開けることだろう。

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