新型コロナウイルスは終息の兆しを見せたかに思えたが、東京都では連日のように感染者が三桁を超えている。そのコロナにサッカー界で初めて感染したのが、誰あろう田嶋幸三日本サッカー協会会長だった。海外を飛び回っての会議の連続で感染した可能性もあるが、無事4月2日に退院した。そして田嶋会長は職務に復帰するやいなや、コロナで休業を余儀なくされている街のクラブに救いの手を差し伸べたのである。
(取材・文 六川亨)
■任意団体のクラブを助けることができた
ーー(融資に)当てはまらなかったクラブはどのような要件が不足していたのでしょう。
フルタイムだとか、アルバイトも含めて何人以上の指導者を雇っていないといけないとか、いちおう法人格を持っていて500万円まで申請できるのは何人、法人格を持たない任意団体についてはこういうというような基準と決めていたのですけど、実際に(スクール生は)3種、4種(小中学生)が多くて、さらにその半分以上8割くらいが任意団体でした。
そして任意団体はどこにも助けを求められないんですよ。法人格を持っていれば政府だとか、あるいは無利子でお金を借りることができるんです。そういう意味では法人格を持たない任意団体のクラブを助けられたのは大きいと思います。
実際に300近くのクラブがありました。仮に20人いたとして6000人以上です。これらが一度潰れてしまったら、二度と立ち上がれないかもしれません。そういう意味では、サッカー協会としては意義のあることをしたのではないかと思っています。
今回であれば給付、差し上げることをしたかったのですが、それをするには公平性が必要になります。10万円(定額給付金)と一緒で、全員に配りますと。それをやる方がいいのか、それとも本当に困っているクラブを助けるほうがいいのかということで、我々は後者を選びました。
ーー申請には申請者の意見を吸い上げる「お困りごとフォーム」があると聞いたのですが、どんな意見が多かったのですか。
やはり収入がないなかで、固定経費がどんどん出ていく。そのことが一番大きかったですね。つまり、このままいったら「今度の5月末にはショートして立ちゆかなくなります」とか、「6月末にはショートしちゃいます」とか、皆すごく頑張ってくれたり、融資を受けたりしながらもクラブを継続しようとやってくれました。
ーー一般の個人営業、飲食などと同じですね。
一緒ですよ。固定費としてクラブの部屋を借りたり、グラウンドを借りたり、コーチの給料を払ったりとか、そこはもう一緒ですよ。