■子供たちの未来のためにも
ーーそこまで覚悟を決めるまでに、かなり悩まれたのではないですか。
悩むことはしましたけど、幸い多くの積み立てがあったことも1つであり、それから、サッカー協会というのは潰してはいけないですよね。FIFA加盟の唯一の機関ですから。そういう意味で言えば、我々が潰れないというこということにもつながります。
こうやって多くのお金を先輩方が貯めてくれたのと同じように、そこをやらなければ、このサッカーの灯火を消してしまうことの方が怖いですね。300クラブのうち、いくつかわかりませんが、潰れたりして、そこでプレーしている子供がやる場をなくしたり、そこに素晴らしい選手がいたとしたら、それは計り知れない損失になるわけです。
ーー未来のある子供たちは大切にしないといけないですね。いま協会が借金をしてまでと言われましたが、過去にAFC(アジアサッカー連盟)やFIFA(国際サッカー連盟)が日本に救いの手を差し伸べたことはあったのでしょうか。
FIFAはまず、世界210のメンバー・アソシエイションに対して、このコビッド19(コロナウイルス)に対する措置として100万ドル、約1億1千万円、実際には50万ドル、50万ドルの2回に分けて渡すことをこの間のカウンシル(理事会)で決めました。
そしてもう1つ、こういうときに女子サッカーに対するサポートが著しく落ちるんですね。だから女子サッカーに対して50万ドル、つまり小さな国も大きな国も合わせて1億5000万円はもらえる。
それからFIFAは融資を500万ドル、つまり5億5000万円くらいを各国に対して融資することも決めました。ありがたいことです。これは我々が東日本大震災のときにFAFAやUEFA(欧州サッカー連盟)から多くのお金を頂いて、被災地の復興に使ったわけですけど、こういうときにしっかりお金を持っていることは大切だと改めて思いました。
ーー話は変わりますが、支援事業で「JFAへの登録を問わない」とあります。東京都の場合、サッカー協会に登録せず、所属する区リーグに登録して活動している少年団も多いと思います。社会人も東京都=JFAではなく区リーグだけの登録選手もいると思います。「JFAへの登録を問わない」というのは、彼らの救済も含むためだったのですか。
まさに、私たちは「サッカーファミリー」といいう言葉を使っています。登録人口は選手が約100万人弱、審判が30万人、指導者が約9万人。その他を入れて、フットサルの選手などがそこに入ってくるわけですが、約140万人です。
そこでフットボールファミリーというのは、例えば区リーグや社会人の世田谷区リーグでやってたりとか、そういう人たちだったり、もしくは4種(小学生)に登録しているけど出られそうな子は登録して、出られそうもない子は登録しないみたいなこともあって、そういう子供たちを全部含めたり、スクールだとか、両方を入れると560万人くらいになると試算したんです。