■サッカーファミリーの支援事業について
――タレントの志村けんさんがお亡くなりになったのもその頃でしたね。
志村けんさんは、私が退院できそうな最後のときでした、お亡くなりになったのが。すごく早かったですね。その前に、薬をいろいろと試されていた時に私がドクターから言われたのは、「この薬が効かなかったら、残念だけどあとは自己免疫で戦ってもらって、それがダメだったら」っていうことまで言われました。そういう意味ではなんて言うんだろう、ちょっと不安にはなりましたね。そのまま、もう自宅には帰れないということも言われていましたから。
――死ぬことも脳裏をよぎりましたか。
その覚悟はしましたね、やっぱり。まったくわからない病気でしたから。
――幸いにも2度目の陰性が確認されて4月2日に退院すると、すぐに「サッカーファミリーの支援事業」を立ち上げました。その危機感はどこからきたのでしょう。
まずは3月29日に評議員会が行われて、そこで私が3期目となる会長に任命されたのです。しかもそれは、病院の病室からweb会議で、初めて、前代未聞じゃないですか、病院の個室からweb会議に出て、それで会長に指名されたなんて。そういう意味では本当に皆さんに感謝しないといけないし、これはサッカー界のために頑張らないといけないというふうに思いました。
ただ、自分が入院して、最初の1週間は自分自身も体調は良くなかったんですけど、薬がうまく効いて、それで良くなって、あとは陰性が2回になるのを待つだけのときは、本当にいろんなことを考えることができました。いろんな情報が入ってきまして、やっぱり(年度替わりの)3月にコロナで全部のサッカースクールやクラブの活動ができなくなるということは、会費を取って運営している人たちが困窮するということはすぐにわかることじゃないですか。
で、そういう情報も入って来たので、退院する前の3月29日、私が会長になったときに最初に言ったのが、Jリーグは中止になりましたけど、チケットの3%、我々は「レビィ(協会納府金」と呼んでいて約6億円くらいですけど、それを「取りません」と。
クラブのなかには選手への給料を払えるかどうかというクラブもありますから、そういうクラブからそれを取れるのか。それから困窮した人、例えば会社で働いていて、社会人リーグでやっている人もいますが、無期限に活動自粛なのにそういう人から登録費を取れるのか。
JFAの登録料は4種で年間700円ですけど。少年で、自分の家族が何かコロナの影響でご商売がなかなかうまくいかない。そういうところから登録費を取れるかということで、困窮している家族や本人からは登録費を免除しますと。この2つを私は真っ先に申し上げました。