■日本とスペインのスタイルの違い
「中井のように若い選手は、第一に、フットボールを楽しまなければいけないと思う。失念しがちだけど、フットボールはスポーツであり、ゲームなんだ。プレッシャー、言葉の壁、文化の違い、そういうものを一旦外してプレーに集中できるかどうかだろうね」
――日本とスペインのプレースタイルの違いについて、バブンスキー選手はどう感じていますか? 日本ではポゼッションを嗜好しますが、スペインのそれとは異なるところがあると思います。
「そうだね。それは日本人の気質も関係しているかもしれない。フットボーラーに限らず、他の職業においても、保守的になる傾向があるように感じているよ。ピッチレベルで言えば、リスクを冒して縦パスを入れるより、安全なゾーンでパスを回すことを選択する。フットボールでは、ゴールを奪うために、時にドリブルを仕掛けたり、リスクを負ったパスを出さなければいけない。日本のプレースタイルでは、そこで少し時間がかかってしまうことがあるね」
――我々は『スペインはポゼッションだ』『ボール保持を好む』と考えがちですが、そういう意味においては、スペインは日本の印象よりずっとダイレクトにゴールに向かいます。
「その通りだね。素晴らしい観察だよ。スペインのプレーシステムはポゼッションのためにあり、なおかつゴールに向かって攻撃するためにある。日本では、時にゴールを奪うことが目的ではなく、ボールを保持することが目的になってしまうところがあるのかもしれない」