■監督采配がズバリ的中した長崎

 長崎は福岡のホームに乗り込んだ。

 開幕節と前節は3-4-2-1の布陣で戦ったが、手倉森誠監督は4バックを選択する。「リーグ戦の再開が決まった時点で、北九州との再開初戦に3バックでいったら、福岡は悩んでくれるだろう。あとは、メンバーの出し入れで、どうやってパワーを注いでいくか」というのが指揮官の狙いで、オーガナイズされた4-4-2を敷く相手とのミラーゲームを選んだのだった。

 手倉森監督は4バックの巧みな使い手であり、長崎には3バックにも4バックにも対応可能な選手が揃っている。システム変更によってチームの機能性が損なわれることはなかったが、後半開始早々に直接FKを決められてしまった。

 0対1とリードされてから、手倉森監督は言葉どおりの采配をふるう。54分、65分、77分と3度の交代で4人を投入し、「パワーを注いで」いった。

 なかでもハマったのがビクトル・イバルボと富樫敬真の起用だ。フィジカルを生かして攻撃の起点となるコロンビア人FWに、リオ五輪代表候補として指揮官の指導をあおいだ26歳が、絶妙な距離感で絡んでいく。80分、90プラス4分のゴールは、いずれもイバルボのアシストから富樫が決めたものだった。

 手倉森監督が就任1年目だった昨シーズンは、逆転勝ちが2試合しかなかった。17勝5分20敗の12位に沈んだのは、試合を引っ繰り返す力が欠けていたからでもある。

 水戸を逞しく成長させた長谷部茂利監督を招へいした福岡は、九州ダービーを戦うライバルだけでなく、J1昇格争いでも互いを意識しあう存在と言っていい。アウェイでつかんだ逆転勝利は、それだけに価値がある。

 今シーズンの年間順位決定方式では、勝点が並んだ場合は得失点差の次に当該チーム間の対戦成績が、その次に勝利数が問われるのだ。勝ち切る力がいつも以上に求めれるなかで、大宮と長崎は好スタートを切ったと言える。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4