■どれだけ嫌われても勝てば官軍
答えはそう、イブラヒモビッチだ。
アヤックス(オランダ) 04年
ユベントス(イタリア) 05、06年※
インテル(イタリア) 07、08、09年
バルセロナ(スペイン) 10年
ミラン(イタリア) 11年
ユベントスでの2連覇は、「カルチョスキャンダル」によって取り消されたが、これも含めれば異なる3つのリーグ、5つのチームでリーグ8連覇を成し遂げた。
ちなみに彼はミランで一度優勝を逃したあと、パリ・サンジェルマンでもリーグ4連覇を達成している。こうなると「イブラがタイトルを連れてくる」いっても過言ではない。
あるとき、イタリアに住む友人との会話でイブラが出てきたことがある。
「イタリアで尊敬される選手って、どういう選手?」
何気なく問いかけたところ、ちょっと意外な答えが返ってきた。
「ひとつのチームに忠誠を捧げ続ける選手だよ」
トッティやマルディーニ、サネッティが、ライバルチームのサポーターからも敬意を集めたのもうなずける。
そこから知人は、こう続けた。
「ちなみに嫌われるのは、これとは正反対の選手。金もうけのために、ユニフォームをとっかえひっかえする選手だよ」
そのサンプルとして真っ先に上がったのが、だれあろうイブラだった。
イタリア的に言えば、イブラは金に魂を売った卑しいヤツ。
だが悔しいかな、その力量を認めないわけにはいかない。行く先々に栄光をもたらしているからだ。
だれになんと言われようと気にしない。俺は俺の道を征く――。
これがイブラの生きかた。
スウェーデンの貧しい移民の子として生まれた少年は、だれにも媚びたりせず、腕一本でキャリアを切り拓いた。
行く先々のメガクラブで堂々と自分を押し出すことができるのは、圧倒的なフィジカルとテクニックに加えて、強靭な精神の成せる業。金の亡者と呼ばれようと、勝てば官軍なのである。